2026/10/15

Domino IQ: RAG サポートの動作検証

前回までで RAG のセットアップが完了したので、今回は動作確認をします。以前 DominoIQ の検証で作成したサンプルアプリ を RAG 用に修正して検証します。


コマンド文書の追加

RAG の効果を確認することを目的に RAG にアクセスしないコマンド文書を追加します。コマンド名を dxlSuiteHelp_NoRAG とし、RAG 以外の設定を同じにします。


テストアプリの作成

まず、問い合わせ内容を記入する Prompt と DominoIQ の返答を表示する Responce フィールドを作成します。

RAG を使用するかのラジオボタンを作成します。選択肢には次の通り設定します。

  • RAG 有効|dxlSuiteHelp
  • RAG 無効|dxlSuiteHelp_NoRAG 

このラジオボタンの選択で、DominoIQ のコマンドを切り替えるというとこですね。

最後に DominoIQ に問い合わせを行う[IQ]ボタンを作成します。今回はラジオボタンの選択で実行するコマンドを切り替えられるようにしています。

Sub Click(Source As Button)
   Dim ns As New NotesSession
   Dim nuiw As New NotesUIWorkspace
   Dim nuid As NotesUIDocument
   Dim nd As NotesDocument
   Dim llmreq As NotesLLMRequest
   Dim llmres As NotesLLMResponse
   Dim sText As String
   Dim sCmd As String

   Set nuid = nuiw.CurrentDocument
   Set nd = nuid.Document
   sText = nd.Prompt(0)
   sCmd = nd.IQCommand(0)    'コマンドの取得

   'DominoIQ へ問い合わせ
   Set llmreq = ns.CreateLLMRequest()
   Set llmres = llmreq.Completion(ns.CurrentDatabase.Server, sCmd, sText)

   'DominoIQ の返答を記録
   nd.Results = llmres.Content
   nd.FinishReason = llmres.FinishReason
End Sub

今回は、DominoIQ のレスポンスの戻り値である FinishReason もフィールドに書き込み結果を確認できるようにしてみました。


パラメータの設定

今回は RAG の動作検証が目的ですので、デバッグパラメータを Domino サーバの notes.ini に設定します。設定するのは以下の 3 つです。

  • DEBUG_DOMIQ=1
  • DEBUG_DOMINOIQ_LLMREQUEST=1
  • DEBUG_DOMINOIQ_LLMPAYLOAD=1

各パラメータの挙動については過去記事「Domino IQ とデバッグパラメータ」を参照ください。

また、今回の検証ではパラフレーズを無効化して行います。パラフレーズについても以前記事を書いていますので、「Domino IQ: パラフレーズ機能の動作」を参照ください。

  • DOMIQ_DISABLE_PROMPT_PARAPHRASE=1 のエントリを削除


動作検証

検証準備ができたので、RAG の有効/無効を切り替えながら検証します。問い合わせ内容は、『dxlSuite を知っていますか?』と RAG に食べさせた dxlSuite に関して聞いてみます。

結果は下図のようになりました。

RAG を有効にすると dxlSuite の特徴を的確に返していますが、無効の場合 DXL の一般的な説明をしたり、dxlSuite が Domino の開発者向けツールであると知ったかぶりのウソを吐いていることがわかりますね。

具体的は、ヘルプ内の「はじめに」文書に記載されている内容をうまくまとめてくれていることがわかります。


2026/09/27

Domino IQ: RAG の対象 DB の設定

Domino IQ の RAG サポート機能で DB を対象にするには、あらかじめ以下の設定・操作を行って、DB のデータをベクトル化しておく必要があります。

  1. 全文索引の作成
  2. Domino IQ オプションで有効化(管理クライアント)
  3. LLM System Prompt 文書作成
  4. LLM Command 文書作成(対象の DB を指定し、フィールドを列挙)
  5. ベクトル化(updall -w 〇〇〇.nsf)


全文索引の作成

Domino IQ では、RAG の対象 DB に全文索引を作成しておくことが前提条件となっているようです。なぜ RAG なのに全文索引が必要なのかは少し不思議なところです。HCL の中の人に技術的な説明をしてほしいですね...。

前提条件なので、索引を作成しておきましょう。データベースのプロパティで[索引の作成]をクリックします。

今回は、私が作成した DXL のライブラリ dxlSuite のマニュアル(dxlSuite.nsf)を対象に操作します。ノーツの一般的な操作なので説明不要だとは思いますが、全文索引が作成されると .ft フォルダが作成されます。


Domino IQ オプションで有効化

全文索引ができたら、管理クライアントを開きます。対象の DB を右クリックすると、一番下に[Domino IQ...]というメニューが表示されるので選択します。

設定画面は単純で、有効 / 無効 の切り替えしかありません。「有効」を選択して[OK]をクリックします。もう一度この画面を開くとステータスが「有効」に変更されていることが確認できます。

ちなみに、全文索引を設定していない DB に対してこの作業を行うと『データベースの全文索引が作成されていません』とエラーが出ます。わかりやすくメッセージを出してくれるので、設定が漏れることはありませんね。


LLM System Prompt 文書作成

後続の LLM Command 文書作成で、LLM System Prompt 文書が必要となるので作成しておきます。AI に対して「この会話では、どのようなルール・方針・役割で振る舞うべきか」を指示するものになるので、とりあえず以下のように設定しました。


LLM Command 文書作成

LLM Command 文書を新規で作成し、必要な情報を入力します。System prompt には前段で作成した LLM System Prompt を指定します。

14.5.1 の LLM Command 文書には RAG 用のフィールドが2つ追加されています。ここに RAG 化したい DB とフィールドを指定します。

14.5.1 では、ビューやフォームを指定する機能がなく、フィールドのみの指定となります。この DB にはヘルプ以外にも文書が登録されているのですが、とりあえず、ヘルプに関連するフィールドだけを指定しておきましょう。

ノーツの DB は、このようにさまざまなフォームの文書が混在していることが珍しくありません。このあたりをどのように扱うのかは、今後の機能面・設定面で気になるところです。


ベクトル化

ここまで、準備ができたらベクトル化するコマンドをサーバコンソールに投入します。

   load updall -w Home\Lib\dxlSuite.nsf

updall タスクが完了すると全文索引と同様にその DB 専用のフォルダが作成されます。


ところで、データフォルダの直下に llm_vector というフォルダが作成されているのを発見しました。名称からベクトルデータ用と思われます。先の updall で作成されたフォルダは DB 単位、llm_vector フォルダは、ベクトルデータ全体を管理するためといったところでしょうか?

最近の Domino は、データフォルダ内にフォルダを作りすぎですね...


次回の予定

ここまでで RAG 化したい DB のベクトル化までが完了しました。次回は、簡単なアプリを作成して、RAG のテストをしたいと思います。


2026/09/26

Domino IQ: Embedding Model の設定

前回は Embedding Model について調査した過程をまとめつつ、採用するモデルは技術情報に倣って bge-m3-Q6_K.gguf としました。今回はダウンロードしたこのモデルを Domino IQ に設定する作業を行います。


LLM の切り替え

Embedding Model の設定の前に LLM を変更します。

というのも、14.5 で DominoIQ がリリースされた時のサポート情報(KB0121957)を改めて確認すると採用しているLLM が「Llama-3-ELYZA-JP-8B-q4_k_m.gguf」から「Qwen3-8B-Q5_K_M.gguf」に変更されていました。理由は『低スペックの環境でも比較的日本語処理性能が高い Qwen3 8B を使用します』と記載されていました。

そこで、この2つのモデルを Chat-GPT 先生に比較してもらいました。

Qwen3-8B Llama-3-ELYZA-JP-8B
ベース Qwen3 Meta Llama 3
パラメータ 8.2B 約8B
特徴 多言語・推論・コード・指示追従を重視 日本語を強化したモデル
日本語 強い かなり強い
Reasoning Thinking / Non-thinkingを切替可能 通常のLLM
ライセンス Apache 2.0 Llama 3系
コンテキスト 32K(YaRNで131Kまで検証) Llama 3系
GGUF Q5_K_M Q4_K_M

どちらも 8B クラスのモデルであるため、必要となる VRAM 容量に大きな違いはないといえます。ただし、ELYZA は Q4_K_M、Qwen3 は Q5_K_M という異なる量子化方式が採用されており、モデル本体のメモリ使用量は Qwen3 のほうがやや大きくなると想定できます。そのため、今回の変更を単純な VRAM 削減を目的としたものと考えるのは適切ではなさそうです。

Qwen3 は日本語処理性能に加えて、多言語対応や推論能力、指示への追従性などを重視したモデルです。今回は、Embedding モデルによる文書検索と LLM による回答生成を組み合わせた RAG を利用するため、単に日本語が得意であるだけでなく、検索された情報を理解して適切に回答する総合的な能力が重要になります。その点で、Qwen3 は今回の用途に適したモデルと考えられます。

また、Embedding モデルとして多言語対応の bge-m3 を利用します。「bge-m3 で多言語の文書を検索し、Qwen3 でその内容を理解して回答する」という構成との相性も良いと考えられます。限られた GPU リソースの中で、必要な日本語性能と汎用的な処理能力のバランスを取ったモデル選択と考えることができそうです。


ということで、Qwen3-8B-Q5_K_M.gguf をダウンロードして、 llm_models フォルダに配置します。そして、Domino IQ Configuration DB で設定し、Domino IQ に組み込みます。

正しく設定できると、サーバ起動時に LLM がロードされます。

[4094:0025-4594] 2026/08/14 20:40:11 DominoIQTask: AI エンジン実行中。読み込まれたモデル = Qwen3-8B-Q5_K_M.gguf


Embedding Model の登録

RAG サポートのセットアップの2つ目、「LLM Model 文書作成(Model Type = Embedding model)」の作業です。ここでは、Embedding Model を Domino IQ に登録します。

Domino IQ Configuration DB を開いて[Embedding Models]ビューを開き、[Add Model]をクリック、新しい文書を作成します。


Embedding Model の組み込み

Domino IQ Configuration DB の Configurations ビューを開き、既存の Domino IQ の設定文書を開き、編集します。

[Embedding Model]タブを開き、先ほど登録した Embedding Model を選択します。その他項目については、デフォルト値のままとします。

なお、Embedding model availability: の項目は、正しく設定完了すると『Embedding model copy succeeded; embedding model is available』に更新されます。

[Vector Database]タブはデフォルト値のままとします。

[Advanced]タブはサポート情報(KB0129110)に倣って入力します。

『例えば、「-c 327680」と「Number of Concurrent requests: 20」に設定すると、AI 推論エンジンにリクエストごとに 32768 トークンのコンテキストサイズが提供されます。』と記載があります。これだけでは何のことかよく分かりませんがが、チューニング時に必要となる項目のようですね。


トランザクションログの有効化

RAG サポートでは、Embedding Model を使ってベクトル化を行います(詳細は次回)。この操作では、トランザクションログの有効化が条件となります。

[352C:0002-287C] 2026/09/16 10:02:00 Index update process shutdown: Function only supported for transaction logged databases

DominoIQ の直接的な設定ではありませんが、ベクトル化を行う前に有効にしておきましょう。設定は、サーバ文書を編集し、[トランザクションログ]タブで行います。


2026/09/23

Domino IQ: Embedding Model のダウンロード

前回紹介した Domino IQ の RAG サポートのセットアップですが最初の手順は『Embedding model をダウンロードして llm_models フォルダに配置』 でした。

Embedding Model の知識は全くない状態だったので、作業にあたり Chat-GPT 先生の助けを借りながら理解を進めました。新しいことはすぐに忘れちゃうので、記録しておきます。

このような背景から、誤解や間違いがあるかもしれません。予めご了承ください。



Embedding Model の役割

DominoIQ の RAG の動作をざっくりまとめると下図のようになります。

Embedding Model の利用シーンは大きく2つあります。

一つは、対象の文書をベクトル化しデータベースに登録する処理で、もう一つは、質問をベクトル化して、ベクトルデータベースへ問い合わせする際に利用します。後者では、ヒットした結果を LLM に渡して回答を得る処理につながります。

Embedding Model は、与えた文書や質問をベクトル化する処理を担当します。これが RAG サポートで、LLM のほかに Embedding Model のセットアップが必要な理由となります。


Qdrant のセットアップは不要

ちなみに、前回紹介した RAG サポートのセットアップには、ベクトルデータベース(Qdrant)は登場しませんでした。その理由は、Domino IQ RAG Support のドキュメントに記載があます。

『The DominoIQ task starts the embedding model using the llama-server and the vector database server locally on the Domino IQ server.』

Qdrantは「セットアップするもの」というより「DominoIQが内部で起動するもの」なんですね。


Embedding Model の選び方

HCL の技術情報 では、いきなり4つの候補が紹介され、bge-m3 でセットアップすることが決まっています。

  • mxbai-embed-large
  • bge-m3
  • nomic-embed-text
  • snowflake-arctic-embed
なぜこのような判断となったのか疑問だったので、Hugging Face で各モデルを調査しました。

◇ bge-m3

技術情報内のモデルダウンロードリンクをクリックすると[Files and versions]タブが開きます。その左に[Model card]タブがあり、モデルの情報が確認できます。

残念ながらここには詳しい情報はなく、詳細は最後のリンク見るように指示があります。そのリンクを開くと書いてありました。今度は素人には詳しすぎる情報だったのですが、先頭にばっちり書いてありました(画像は Chrome で翻訳済み)。『多機能性、多言語性、多粒度性といった汎用性の高さが際立つ』モデルだそうです。

◇ mxbai-embed-large

検索ボックスを使用して探し出し、モデルカードを翻訳してみました。



他のモデルも調べてみたのですが、似たような感じでよくわかりませんでした...。各モデルで書き方がバラバラなので、ミリしらのシロートが読んでも比較はできないですね。仕方がないので、Chat-GPT 先生にこの4つのモデルを一般的な比較指標とともに特徴をまとめてもらいました。

今回候補として挙げられたモデルのバージョンを調べた範囲では、bge-m3が多言語対応という点で日本語環境に適していると判断しました。長文に対応している点も Notes/Domino にマッチした特徴を持っていると思います。


Embedding Model のダウンロード

bge-m3 のダウンロードページ には複数のファイルがリストされています。

ファイル名の Q の後の数字は、モデルの学習済みパラメータを何 Bit 程度で量子化するかを表しており、ざっくりいうとモデルの圧縮度合いを表します。数字が小さいほどファイルサイズを小さくできるそうです。

K は K-quants という量子化方式だそうです。

S / M / L は Small / Medium / Large を表し、同じQ系でも、どの部分をどの程度の精度で保持するかなどの違いによってサイズが変わります。

なお、F16は16bit浮動小数点形式であることを表し、このモデルの基本形となります。いわば「無圧縮」に近い状態と考えてよさそうです。


とはいっても、現時点ではよくわからないので、技術情報の通り『bge-m3-Q6_K.gguf』をダウンロードすることにしましょう...

ダウンロードしたファイルは llm_models フォルダに配置します。


Embedding Model のサイズ

この記事の最初に『Embedding Model は文書をベクトル化』すると紹介しました。これだけだとアルゴリズム(プログラム)になるので、なぜ先ほどの圧縮でモデルのサイズが変わるんだろう?と疑問を持ったので調べてみました。

結果はアルゴリズムだけはなく、データも含むことがわかりました。

   Embedding Model = ベクトル化のプログラム + 学習済みの巨大な「重み」データ

モデルの比較表にまとめた通り、bge-m3 は 約 568 M パラメータのモデルで、その結果が重みデータとしてモデル内に組み込まれており、このデータの圧縮の仕方で複数のファイルが存在したというわけですね。


まとめ

最初に書いた通り、知識がない状態からのスタートだったので、少しずつ理解を進める過程をまとめてみました。まだまだ分からないことだらけなので、少しずつ理解を進め記事にしていきたいと思います。

このような背景からモデルの選定は、技術情報に倣って bge-m3-Q6_K.gguf を選択しました。いつか自分で判断して選択できるようになりたいですね。


2026/09/16

Domino IQ: RAG のセットアップ

2026.03.19 にリリースされた Domino 14.5.1 より、Domino IQ で RAG がサポートされました。すでに半年が経過してしまいましたが、いまさらながらセットアップしてみました。

セットアップの手順については、例によって HCL Software の Customer Support から技術情報が公開されています。

Domino 14.5.1 新機能: Domino 14.5.1 で実装される Domino IQ RAG の概要と利用例

この記事を参照しながら実際にセットアップをしてみました。後日、本格的に検証するときに備えて、手順を整理しておこうと思います。


◇ Domino IQ のセットアップ

  1. Domino 14.5.1、FixPack 1、ランゲージパックのインストールとセットアップ
  2. llama Server for Domino IQ のサーバモジュールを配置
  3. Large language model をダウンロードして llm_models フォルダに配置
  4. Domino ディレクトリプロフィールの Domino IQ タブを設定
    (Domino IQ Configuration DB が作成)
  5. LLM Model 文書作成
    (14.5.1 では Model Type = Large language model)
  6. Domino IQ Configuration 文書作成

この部分は Domino IQ の基本セットアップ手順で、14.5 でも同様です(過去の記事 Domino IQ: インストールとセットアップ を参照)。


◇ RAG サポートのセットアップ

  1. Embedding model をダウンロードして llm_models フォルダに配置
  2. LLM Model 文書作成(Model Type = Embedding model)
  3. Domino IQ Configuration 文書を編集し[Embedding Model]タブを設定
  4. トランザクションログの有効化(ベクトル化時に必要)


◇ 対象 DB の設定

  1. 全文索引の作成
  2. Domino IQ オプションで有効化(管理クライアント)
  3. LLM System Prompt 文書作成
  4. LLM Command 文書作成(対象の DBを指定し、フィールドを列挙)
  5. ベクトル化(updall -w 〇〇〇.nsf)


今回は、手順のリスト化を目的にした記事となります。詳細な手順や設定画面、テスト結果などは順次整理したいと思います。

なお、今回の記事では、RAG と同時にサポートされた Guard Model は、対象外としています。


2026/09/15

表のプロパティ ⑫ - その他の表の機能

ノーツの表のさまざまな設定を紹介してきましたが今回が最終回となります。今回は表にまつわる小技的なものを紹介したいと思います。


Ctrl+↑↓

表を編集していると表の内容を並び替えたり、セルの内容を別のセルに移動したくなることがあります。この時に便利なのが、Ctrl キー + カーソルの上下キーです。この操作を行うと、カーソル内のセルの内容がその方向のセルと入れ替わります。

この操作は複数のセルを選択しても機能するので、行を入れ替える場合にも利用できます。


カスケードの表

ノーツの表のセルはリッチテキストとほぼ同様の機能を持っています。ですので、セル内に表を配置して、カスケードした表を作成することができます。

下図は 2 行 1 列 の表の左のセルに 3 行 2 列の表を作成しました。それぞれの表でプロパティが自由にでき、内側の表の罫線だけ色を変えたり、マージンを設定することができます。

また、内側の表をマージンに合わせるようにしておけば、外側の列幅に合わせて、内側の表を伸縮させることも可能です。1 列目幅を変えると、このように柔軟に動作してくれます。


表の上下の段落

ノーツで表を作成すると表の上下に段落が必要になります。

特にカスケードの表では、上下に1行分の隙間が空き、間延びした感じになります。この隙間を消したい場合には、その段落を非表示にしましょう。

フォーム設計の場合には単純に非表示にするだけで構いません。フォームの編集画面では非表示の段落も表示されるからです。

しかし、文書の場合には注意が必要です。

フォームのように常時非表示にしてしまうと戻すことができなくなります。非表示で見えなくなった段落にカーソルが移動できないので、プロパティを開けなくなるからです...

このような状況に陥らないよう、文書の場合は、編集モードでは表示するようにしておくといいでしょう。



コピペの挙動

表をコピー&ペーストする際、コピー先が表のセルだった場合には次のようにメッセージが順に表示されます。2つ目のメッセージが重要で、文言の通り、貼り付け方を決定します。


◇ はい … 重ねて貼り付け

コピー元の表のセルの内容を各セルに貼り付けます。行、列に不足がある場合には、自動で追加してくれます。

この機能はセル内のコンテンツの貼り付けがメインとなるので、コピー元の表のプロパティは無視されます。逆に文字寄せなど段落の設定はコピー元が優先されます。


◇ いいえ … カスケードで貼り付け

こちらの機能では貼り付け位置にカスケードの表として貼り付けます。上記の貼り付けとは違い、コピー元の表のプロパティが維持されますので、罫線や枠、背景などの設定をまるごと貼りつけることになります。


タブの色

ノーツのタブ表では、タブの色はセルの背景色で決定されます。

ただ、このまま使用するとセル全体がその色になり、コンテンツが見づらくなったり、セルが目立ちすぎたりします。1 x 1 の表をカスケード表として配置し、背景色をセットすることで、回避することができます。

この時、タブ表の列の間隔を 0.15 cm に設定しておくと、タブとセルの枠の色をいい感じで設定できます。


表形式でコピー

最後は、ノーツクライアントの便利機能と表のプロパティの合わせ技を紹介します。

[編集]メニューに[リンクのコピー]-[表]というものがあります。ビューで文書を選択し、このメニューを選び、メールなどリッチテキストに貼り付けると、ビューが表として貼りつく便利機能です。

ただ、そのままだと不要な列があったり、見た目があまりよくありません。ですが、このシリーズで覚えた技を駆使すれば簡単に見やすい表にできます。

いかがですか?

ひと手間かけるだけで、仕事ができる人ように見えますよね😎


2026/09/08

表のプロパティ ⑪ - 行の切り替えをプログラムで行う

タブ形式の表を実用しているとユーザの権限に応じて表示するタブを切り替えたいことがあります。実はノーツの表では、こんなことまで実現できてしまいます。


一般的な動作

まずは、特別な機能を使用しない場合のタブ表の動作を確認しましょう。

デザイナーで最後のタブを開いた状態でフォームを保存しても、次に開いたときには最初のタブが開きます。もちろんこのフォームを利用した文書を開いたときも最初のタブが開きます。

ノーツのタブは、必ず、最初のタブが開く仕様になっています。

最初のタブとは、表の1行目になるのですが、その行が非表示の場合は、次の行となります。要は、非表示でない最初の行が表示されるということですね。

この機能を利用すれは、表示/非表示をコントロールする行を1行目にしておけば、権限に応じて、表示するタブを切り替えることができます。

この方法は簡易的な手段となり、タブ順も限定されます。もっと柔軟に対応したい場合には、後述の方法を使うことになります。


行の切り替えをプログラムで行う

表のプロパティ[表の行]タブには「行の切り替えをプログラムで行う」という選択肢があります。

以前のバージョンではこの選択肢を選ぶと左に以下のようなアイコンが表示されていました。

このアイコンが示す通り、行の切り替えをプログラムで行うには、フィールドと表(行)を組み合わせる機能となっています。フィールドの値に応じて、表示するタブ(= 表示する行)を指定する機能だと想像できますね。

値を格納するフィールド名の指定は、表のプロパティの別のタブ、[表のプログラミング]の「名前/ID」で指定します。

続いて、フォームに2つめのタブを表示するボタン【次世代エース養成】ボタンを作成します。

クリック時の式には、次のように記述します。

@SetField("$WS"; 1);
@Command([RefreshHideFormulas])

フィールド名は表に指定した名称の前に $ が付きます。ノーツが内部的に使っているぞというのが醸し出されていて、ノーツらしい仕様ですね。設定する値は行番号になるのですが、0 始まりとなるため、2行目は 1 となる点に注意が必要です。


なお、各行にも名前を指定することで、より正確に記述できます。まず、次のように行のタグで名前を付けます(2行目を選択してセット)。

そしてボタンの式で、その名前を指定することで、表示するタブを明示できます。

@SetField("$WS"; "Next-Gen");
@Command([RefreshHideFormulas])

ただ、複数のタブをコントロールしたい場合など、それぞれ設定するのは少し面倒ではありますが、行を追加したりしてもバグにならない利点があります。


まとめ

今回は、行の切り替えをプログラムで行う方法を紹介しました。

フィールドを使用し、その値で表示タブをコントロールする機能でした。今回紹介した事例では、ボタンでフィールド値を操作して切り替えましたが、$WS などのフィールドを表示用の計算結果として定義し、ロールに応じて表示するタブを操作してもいいですし、LotusScript で $ フィールド値を変化させ、タブを切り替えることも可能です。

フィールド+表の組み合わせで、構成要素は単純です。応用しやすい機能となっていますので、チャレンジしてみましょう。


2026/09/06

表のプロパティ ⑩ - 動きのある表

前回、行の特殊表示について紹介しましたが、今回もその続きです。

タブやアコーディオン形式の表も操作により切り替えられるので動きがある表と言えなくもないのですが、今回はアニメーション的に動く機能について紹介します。


表示行を切り替え

前回紹介したなかった「表示行の切り替え」を利用すると一定のタイミングで表示する行を切り替える表を作成することができます。

この表を使ったわかりやすい例を紹介します。

下図のように 1 行ごとに少しずつ色ずらした表を作成します。「表示行の切り替え」を選択し、タイミングに 100 ミリ秒を設定します。

その表を表示モードで参照すると、このように流れて表示されます。


表示効果の設定

表示行を切り替えの機能には、その行をどのようなアクションで表示するのかを指定する「効果」という項目があります。パワポのアニメーションのように登場の仕方を指定できます。

各行に効果を順に設定し、切り替え時間を 5000 ミリ秒に設定してみました。

この動画はすべての効果を2回終了するまで記録しました。動作を見ていて、次のような点が気になりました。

  • 最初の行の効果が実行されない ← 行の切り替え機能なので仕方がない?
  • 効果が実行されると、上のマージンが少し開く
  • ワイプの動作が見えない(ほど早い?) ← ウェイトの指定ミス??

若干、挙動が不安定ですが、面白い機能ですので機会があればお試しください。


行の巡回パターン

表示行を切り替えの機能の動作パターンを設定する機能です。

図の通り4種類から設定できます。それぞれ、次のような動作となります。

クリックで次の行へ マウスでクリックすることで次の行を表示します。
最後の行でクリックすると最初の行へ戻ります。
連続 最初から最後の行へ自動で進みます。
最後まで進むと最初の行へ戻ります。
開いたときに1回 最初から最後の行へ自動で進みます。
最後の行を表示したら、そこで動作を停止します。
クリックで1回 マウスをクリックすると最初から最後の行へ自動で進みます。
最後の行を表示したら、そこで動作を停止します。
もう一度クリックすると、最初から実行します。